【会員限定イベントレポート】
第3回イノベーションプラットフォーム会議
2026年6月29日、第3回イノベーションプラットフォーム会議が東京・渋谷ヒカリエ8/COURTとオンラインのハイブリッドで開催されました。イノベーションプラットフォーム会議は、ESAの会員が一堂に集い、共創プロジェクトの創出に向けて取り組みの共有やインタラクティブな情報共有・交流を行う場です。
今回の会議では、コミュニティ・ウェルビーイングをパーパスに据えたESAの活動コンセプトと新体制が発表されました。さらに、新体制でのキックオフにあたり、サーキュラーエコノミー/ネイチャーポジティブそれぞれの活動企画や、会員同士の関係性をつくる「ESA Connect」を紹介。ESAが、会員と共にどのような共創を生み出していくのかを伝えました。
また、今年度新たに加わった会員の自己紹介では、それぞれがESAでどのような共創を実現したいのかを語っていただきました。会場では、所属や立場を越えて意見を交わせるフラットな雰囲気が生まれ、参加者同士の活発な交流が見られました。多様な想いが集まることで、単なる情報交換にとどまらない取り組みへの期待が一層高まる場となりました。
プログラム
1.ESAの活動方針・組織変更のご説明
2.ESAが目指すコミュニティ・ウェルビーイングの実践
3.【NP活動プロローグ】「ネイチャーポジティブにどうかかわれるのか ―地域実装の現場から見えてきた、共創の可能性―」
4.【CE活動プロローグ】「協力回収モデルの課題解決に挑む、実証の一年へ」
5.Connect・メンバーズラウンジ企画紹介
6.新会員の自己紹介
7.交流セッション ※会場参加者のみ
ESAの活動方針・組織変更のご説明
ESAは、“つながりによって「コミュニティ・ウェルビーイング」を実現すること”をパーパス(存在意義)とし、その実現に向けたアプローチとして、「サーキュラーエコノミー」と「ネイチャーポジティブ」の活動を推進していくことを、代表理事の末次貴英から発表しました。これらの活動を通じて、人・社会・自然のつながりを育む事業づくりを進めます。
また、パーパスに基づく活動体制として、企業・自治体の垣根を越えて全会員が情報収集やネットワーキングに参加できる基盤となるESA Connectや、会員が関心に応じて参加できる、テーマ別のプロジェクト推進機能の設置もあわせて発表しました。さらに、7月からはJ-CEPの名称使用を終了し、ESAとしてより一体感を高めながら活動していく方針です。
新体制のもと、ESAが共創基盤の強化と、共創モデルの具体化ならびに地域での実装を推進していくことを、改めて表明しました。
ESAが目指すコミュニティ・ウェルビーイングの実践
このセッションでは、ESA野﨑伸一(厚生労働省)と、地域・企業・個人の挑戦に長年伴走してきたNPO法人ETIC. 山内幸治氏が登壇。ESAのパーパスであるコミュニティ・ウェルビーイング(CW)について、単なるスローガンではなく、個人の内発的な意志から役割や出番が生まれ、周囲の人や組織的な協働へつながっていくプロセスとして捉え直しました。
背景には、人口増加や経済成長を前提としてきた社会の仕組みが転換点を迎え、人口減少や都市への集中、分業化・縦割りの進行などによって、人と地域、企業と社会の関係を組み直す必要が生じているという問題意識があります。こうした中で、企業がCWにかかわっていく意義を2人のクロストークで深掘りしました。
野﨑からは、従来の制度や組織を起点に考えるだけでなく、一人ひとりの内発的な動機を起点に、役割や出番が生まれる環境をつくることの重要性が示されました。山内氏は、地域に身を置き、現場の課題や人との関係に触れる経験が個人の意志を動かす一方、それを個人の活動だけで終わらせず、組織の力につなげる仕組みが必要だと指摘。実際に、地域での経験を組織の変化や事業につなげている事例をもとに、個人の意志を組織の力へ接続し、取り組みを一過性の実証で終わらせないための仕組みについて議論しました。あわせて、こうした実践機会を広げるプラットフォーム同士の連携についても意見を交わしました。
【NP活動プロローグ】
「ネイチャーポジティブにどうかかわれるのか ―地域実装の現場から見えてきた、共創の可能性―」
このセッションは、ESAと東北大学COI-NEXTネイチャーポジティブ発展社会実現拠点(東北大学NP拠点)との共催により行われる、ネイチャーポジティブ(NP)のプログラムの第1回として実施されました。
登壇は東北大学NP拠点 社会実装部門統括/ビジョナライザーの小田切裕倫氏、アミタ株式会社 纐纈渉氏です。
冒頭では、NPは自然保全だけの話ではなく、人と自然の関係を再設計する取り組みであることが共有されました。
小田切氏は、地域ごとの自然・文化・産業・制度は相互に関係しており、個別に切り離して捉えることはできないと説明しました。また、東北大学NP拠点では、研究と社会実装を往還しながら共創を生み出し、人と自然の共生モデルの構築や人材育成、NPに取り組む地域の拡大を目指していることを紹介。こうした活動は、ESAが掲げるCWとも重なると語りました。
纐纈氏は、企業にとってNPは、CSRや個別の自然保全活動にとどまらず、事業と自然、地域との関係を捉え直すテーマであると説明しました。脱炭素が一定の目標値に向けて削減を進める“目標達成型”であるのに対し、NPは“健康管理型”で継続的に点検し改善する取り組みだと整理しました。そして、工場敷地にとどまらず流域・地域・サプライチェーンまで視野を広げ、個別の保全を地域の生態系や暮らし、産業と連動させる必要を示しました。
最後に、地域が「どのような自然や暮らし、産業を育てていきたいのか」という将来像や問いを明確にし、それを社会実装の起点とすることの重要性が示されました。その上で、企業、金融・保険、研究機関などがそれぞれの役割を持ち寄り、地域と継続的な関係を築きながら社会実装を進めるためには何が必要か、問いが投げかけられました。
会員限定の学びの場である共催プログラムの第2回は、9月7日にGLOBAL NATURE POSITIVE SUMMIT 2026登壇者を招いて開催します。
【CE活動プロローグ】
「協力回収モデルの課題解決に挑む、実証の一年へ」
ESAのサーキュラーエコノミー(CE)を推進する、アミタホールディングス株式会社の高瀬晴太氏・木村智洋氏、NECソリューションイノベータ株式会社の島津晃氏が登壇。CEのプロジェクトとして始動した「協力回収モデル」について、これまでの活動の蓄積を踏まえた今年度の活動計画を共有し、会員の参画を呼びかけました。
サステナビリティや資源循環にかかわる社会的要請がサプライチェーン全体に及ぶ中、その実現に伴う受益と負担を企業・自治体・生活者で分かち合う仕組みが必要であること、そして協力回収モデルは、実際のサプライチェーン変革を促す仕組みになり得ることが説明されました。
あわせて、モデル構築に取り組む5つのワーキンググループ(循環スキーム構築・社会的インパクト可視化・生活者行動デザイン・シミュレータ開発・先行事例研究)の活動計画概要も共有されました。
高瀬氏は、協力回収モデルは単なる「資源回収」の取り組みではなく、社会全体の要請に応え、受益と負担を複数主体で分かち合う「次の事業環境」をつくる試みであると強調しました。さらに、協力回収モデルの構築を「持続可能な社会というフロンティアに向け、未開の航路を渡る船の設計」に例え、この船の設計に共にかかわるよう、会員に呼びかけました。
【ESA Connect/新会員の自己紹介、交流セッション】
共創プロジェクトの創出に向けた、共創の基盤づくり
新体制のスタートに合わせ、自治体・企業の枠を超えて、すべての会員が情報収集や共創の機会に参加できるESAの“リビングルーム”のような場として、ESA Connectを開始しました。本セッションでは、その機能や、会員限定の掲示板機能「メンバーズラウンジ」をご紹介しました。
あわせて、今年度の新会員のうち7会員が登壇し、組織としての取り組みや、ESAで実現したいことを共有しました。続いて会場のみで行われた交流セッションでは、登壇者と共通の関心を持つ会員の輪ができ、会話が弾みました。
ESAは公民共創のプラットフォームとして、引き続き多様な主体をつなぎ、環境や地域課題に向き合う事業づくりを推進してまいります。