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<座談会>
地域を支える“ひと”の育成に40年、
若手職員が語る地域活性化センターの魅力とは

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一般社団法人エコシステム社会機構(以下、ESA)は公民の共創を促進するために、外部のプラットフォーム団体との連携を進めています。その一環として、2025年3月に、ESAは一般財団法人地域活性化センター(以下、地域活性化センター)と連携協定を締結しました。

地域活性化センターは、「地域づくりは人づくりから」を基本理念として、地域活性化を担う人材の育成に取り組む団体で、2025年10月には創設40周年を迎えます。会員数は実に1,900以上。都道府県、市区町村、市町村会など、数多くの地方公共団体とつながりを持っています。
地域づくりに関する様々な研修・セミナーを提供している同団体ですが、実は、自治体職員の人材育成を目的とし、全国から派遣職員を受け入れる「地域力創造大学校®」としての顔も併せ持っています。


全国の地方公共団体とのネットワークを強みに、多方面から人材育成事業を手掛ける地域活性化センターの魅力を探るべく、若手職員4名をお招きし、話を聞いてみました。

座談会メンバー

  • member

    総務課

    副参事

    西田 周平

  • member

    企画・人材育成グループ

    副参事(島根県出雲市から派遣)

    伊藤 麻梨子

  • member

    地域創生・情報広報グループ

    副参事(沖縄県から派遣)

    新城 一貴

  • member

    (公社)ふるさと回帰・移住交流推進機構(JOIN-FURUSATO)

    参事(愛媛県四国中央市から派遣)

    宮崎 博行

職員であり、学生でもある? 働き、学び、実践する2年間

ESA

地域活性化センターで普段どんな仕事をしているのか、それぞれ自己紹介をお願いします。

西田

総務課の西田と申します。私は、令和3年度から地域活性化センターに勤めている職員で、今年で5年目となります。総務業務全般に加え、組織のDX推進も担当しています。身近なところでいうと、ペーパーレス化などですね。
派遣職員として来られた方に、派遣元の自治体でDX推進に取り組むきっかけが提供できると良いなと思って日々仕事をしています。

伊藤

企画・人材育成グループの伊藤と申します。出雲市からの派遣で、今年で2年目となります。企画・人材育成グループでは、セミナーや実践型研修、助成金事業などの“企画”、そして各自治体へコンサルティングのような形で伴走支援をする“人材育成”に取り組みます。
業務を通して、他自治体の人材育成に携わるという貴重な機会を得ているなと感じています。

新城

地域創生・情報広報グループの新城と申します。地域活性化センターに来る前は、離島の出先機関で勤務し、観光・商工・防災等の分野を幅広く担当していました。
今年、地域活性化センターに派遣されて2年目で
す。業務としては、地方自治体の観光・移住関連の動画やパンフレットなどの優れたコンテンツを表彰する地域プロモーションアワード*という事業や、今年度実施する地方創生実践塾**のうち、プロモーションに特化した内容を扱う企画などの主担当をしています。

*地域プロモーションアワード **地方創生実践塾(地域活性化センターHP)

宮崎

公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構*(通称 JOIN-FURUSATO。以下、JOIN)の宮崎と申します。
JOINは、官民連携による移住推進や関係人口の創出を目指す自治体と民間企業を繋ぐマッチメーカーのような存在です。平成18年に地域活性化センター内のひとつの部署として設置され、その後法人化されました。
派遣元は、愛媛県の四国中央市です。自治体では、企業誘致などの産業部門を担当した後、地方創生の分野で地域おこし協力隊や移住等にかかわる業務を経て、地域活性化センターに派遣されました。今年、JOIN勤務2年目となります。法人営業の統括や、派遣元の経験を活かして地域おこし協力隊関係のイベントを担当しています。また、現在、JOINと認定NPO法人ふるさと回帰支援センターの統合を協議**していますが、その事務も担当しています。

*公益社団法人ふるさと回帰・移住交流推進機構HP
**2025年5月現在、JOINとふるさと回帰支援センターは、これまでの長年にわたる双方の取組の成果を前提に、国民的運動としてさらにその活動を発展・強化し、一つの組織になるため、協議中

伊藤

地域活性化センターとJOINは同じ場所にオフィスがあり、相互に連携しています。人材育成や地域活性化に取り組む地域活性化センターと、移住や関係人口に関する事業を行うJOINがともに動くことで、自治体の持つ課題感にマッチした支援ができるのではないかと思っています。

ESA

今年の地域活性化センターの派遣自治体数は53と聞きました。それだけの自治体の方が一緒に働ける職場はなかなかないですよね。

伊藤

年次による先輩・後輩という関係性ではなく、“同期”として、職員同士がフラットで、良い関係性が築けているなと感じます。仲間って感じですね。

宮崎

派遣職員同士、業務で重なることがあまりなくとも、地域活性化センターが企画する「地域力創造大学校®」の研修カリキュラムには、誰でも参加できます。それで同期とのつながりが強くなります。

地域力創造大学校®とは?
都道府県や市町村、民間企業から派遣された職員は、“地域づくりプランナー”の卵として、地域活性化センターが手掛ける各種研修プログラムを受講できる。先進的な取り組みを行う顧問、フェローが講師となり、様々なバックグラウンドをもつ人がともに学び合う、人材育成の場を提供している。
参考動画(地域活性化センター公式Youtube)

伊藤

地域活性化センターへの派遣=“地域力創造大学校®への入学”となります。私たちは、事業を担う職員というだけではなく、実は学生でもあるんです(笑)

ESA

大学校という枠組みをもつことで、地域づくりにかかわる学びをインプットすると同時に、業務を通してアウトプットの機会も得られる。職員を派遣する自治体にとっても、貴重な人材養成の機会になるのですね。魅力的です。

伊藤

今、民間企業からも職員が派遣されているので、一緒に研修を受けています。自治体だけでなく、地域について知りたい企業さんにとっても、地域活性化センターへの職員派遣は良い機会となるかもしれません。

ESA

なるほど。企業も同じカリキュラムで学ぶことで、自治体の視点や公務への理解が深められるのですね。公民連携を目指していくとき、立場が違う相手のことを理解しているということは重要ですよね。

宮崎

JOINの仕事を通して感じるのが、自治体だけの取り組みでは、どうしても限界があり、民間企業の協力が必要だということです。
これは、移住分野に限った話ではないと思っています。JOINを通して自治体と繋がった企業は満足感が高く、イベント等に継続して参加してくださっています。新ビジネスの創出や他社との協業を求める企業は、つながる機会を求めていると感じています。

人のつながり、視点の広がりを地域に還元

ESA

西田さんは、もともと地域活性化センターの職員でいらっしゃいますが、様々なバックグラウンドを持つ方と一緒に働くことをどう感じていますか?

西田

地域活性化センターは、職員の入れ替わりが多い分、ドラスティックに物事を変えやすいと思います。例えば、私の担当するシステムまわりでも、新しい意見を取り入れて、良いシステムを作るということは、すごくうまくいっている気がします。
アジャイルに動かしていくと、「こうすると良くなるのでは?」とか「自分にもちょっと触らせてください」ってアイデアを出してくれる人が出てきたり、派遣元に戻ってからも相談を受けたりして。前向きな“変えたい”という声やアクションを聞き、自分の業務にそんな意義があったのかと気づき、すごく嬉しく思っています。

ESA

地域活性化センターでの経験が刺激になっているのですね。
自治体から派遣された皆さんは、地域活性化センターに来たからこそ得られたものや、自治体に持って帰りたいことなどありますか?

新城

私は沖縄県に戻ったら、地域活性化センターの窓口部署でもある地域離島課に配属されると良いなと思っています。
沖縄県は、小規模な離島をたくさん抱えています。それらの地域を盛り上げていく前向きな仕事ができますし、地域活性化センターともかかわりが持てるので。せっかく地域活性化センターに出向したので、沖縄県でもうまく事業を活用できるように、つなげられたらうれしいです。

伊藤

正直、これまで公務員として特にやりたいことがないまま過ごしていたのですが、地域活性化センターの業務を通して、フェローの方と出会ったり、自治体の研修企画づくりに伴走したりする中で、人材育成って面白いんだなと思うようになりました。私が派遣元に戻るのは約1年後ですが、実は既にイベントの企画書をつくって、担当部署に提出しています!
もし、自治体から出ていなかったら、「私、何ができるんだろう?」と思い続けていたかもしれません。ここにきて、様々な人脈ができたおかげで、帰ったらこれができそうとか、面白いことをしたいなという気持ちが芽生えた気がします。

ESA

皆さんのお話を聞いていると、地域活性化センターへの派遣が、自分自身の関心を伸ばしていく手助けになっているような気がしますね。
公務というと、基本的には決められた範囲の中で業務をすることが求められているので、そこから先にやりたいことを入れ込んでいくことが難しく感じるんですよね。枠からはみ出していく機会ってあまりないと思うんです。
地域活性化センターへの派遣が、自分の足で枠から外に一歩踏み出してみるきっかけとなる。そういった感覚を、派遣元の自治体にも持ち帰れることは大きいのかもしれないですね。

宮崎

僕は、四国中央市から地域活性化センターへ派遣された初めての代なので、2代目に派遣のバトンをつなげたいという思いがあります。
地域活性化センターへ来て良かったと思うことは、全国各地に仲間ができることと、自己研鑽ができることです。きちんと研修の枠組みがあるので、業務に忙殺されずに、学ぶ機会を得られます。
昨年度、地域活性化センターの事業である全国地域リーダー養成塾*に参加して、センター内外の人と一緒に学ぶ機会があったのですが、派遣元を見つめ直すことができる機会になりました。自分の中でのターニングポイントになりました。
自分以外にそういった経験をした人が庁内にいたら、チームで動くことができるので、是非仲間を増やしていきたいです。

*全国地域リーダー養成塾(地域活性化センターHP)

西田

嬉しいですね。実際、OBOGは、業務上で困ったことがあったときに、市町村を超えて連絡を取り合っていたりするようなので。気軽に連絡できる関係性になっているのではないかなと。

伊藤

やっぱり、2年間仕事をして成果を出すところまで一緒にやってきているので、他ではなかなか得難い、濃い関係性が築けるように思います。

ESA

プラットフォームって世の中に溢れていますけど、一緒に活動した経験が、生きたつながりとして残っているわけですね。
ESAも、意思を持った“個”と“個”がつながることができる、既存の組織というメインシステムを支えるサブシステムとしての役割を担えたら*と考えています。
OBOGの皆さんが派遣元に戻ってからも有機的につながり、実践を生み出せるような仕組みづくりに、ESAも何か協力できることがあると良いなと思いながら、お話を聞いていました。

*関連記事:<事務局座談会>エコシステム社会機構ってなに?

西田

地域活性化センターへの派遣経験がある職員、つまりOBOGは、全国に500名以上います。私たちが感知しないところで、何か活動も生まれているはずです。例えば最近は、派遣元に戻ってからも移住担当となったJOINの元メンバー同士で、自治体を超えて連絡を取り合っている話も聞いています。
各地でOBOG会が開催されていたり、地域活性化センターからの情報発信は既にしていますが、OBOG同士がつながれるプラットフォーム、土台のようなものがあっても良いかもと最近思っているところです。

地域力創造大学校®のエッセンスを凝縮したインターンシッププログラム

ESA

皆さんが派遣期間中に学んだことを地域に還元することそのものが、地域活性化センターが掲げる「地域づくりは人づくりから」という理念に、深く紐づいていることがよくわかりました。
とはいえ、地域活性化センターで働く機会は限られていると思います。提供している研修・セミナーの中で「まずはこれを受けてみてほしい!」というものはありますか?

伊藤

地域活性化センターに派遣されると、2年間、地域力創造大学校®でアクティブラーニングをしますが、それを短期で体験できるキャリア開発塾というプログラムを用意しています。受講者の満足度が9割を超えるのですが、本当に、帰るころにはみんな“目が開(ひら)いている”。それくらい変化を感じます。

約1週間のプログラムで、定員は16名と小規模です。全国から東京に集合していただき、地域活性化センターの縮小版のような環境で、視察やワーク等のプログラムを受けてもらいます。今の時代の公務員がもつべきマインドセットから始まり、あとはその時々のテーマに合わせて官民共創、マーケティング、庁内外の合意形成、リーダーシップなど、プログラムはいろいろですが、庁舎内での職種を問わず受けられる内容となっています。
実は、キャリア開発塾のテーマやプログラムは、毎年、私たち副参事が決めているんです。我々にとっても、試練であり学びが深い事業です。

地域活性化センターの事業や、派遣を通して得られることもお伝えするので、職員派遣を迷っている自治体さんがお試しとして受講いただくこともできますし、あるいは通年で派遣する人的余裕はない自治体さんにも、ご活用いただけるのではないかと思います。

宮崎

自治体職員のみのプログラムですが、終了後は、皆さん来てよかったという顔をしていて、満足度の高さを感じます。5日間、切磋琢磨することで変化が生まれる、あるいは目覚める、という面があるのかもしれないです。

ESA

座談会にご参加いただいた皆さんが「戻ってからこんなことにチャレンジしたい」「このプログラムは一味違う!」とお話いただく姿から、地域活性化センターに参画することで得られることや地域に創出したい人材の姿が見えてきた気がします。

地域活性化センターとESA、それぞれの強みを活かし、持続可能な地域づくりに向けて連携を深めていきたいと思います。
本日はありがとうございました!

【お知らせ】キャリア開発塾R7は6/30~7/4開催 申込締切:5月30日(金) 関連記事:地域活性化センター×ESA人材育成・産官学民連携 セミナー動画公開

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